フランス高等師範学校のICT利用について

2020.6.12

自遊学館@ みこと(株)

フランス高等師範学校のICT利用について

自遊学館の先生の娘さんの感想です。フランス高等師範学校 (PSL研究大学)に在学。

1)フランス高等師範学校 (PSL研究大学)のICT利用について

フランスの大学ではこれまで使われていなかったインフラが、コロナ対策で一挙に使われるようになった感じか。

①YouTube授業

YouTubeなどで一方的に講義をする方式。学習するだけなら、自分で教科書を読むのよりは楽だし、おもしろい。またその時だけではなくずっと映像が見られるものであれば、必要なところを繰り返し見られるので便利なこともある。

ただ、ICTの活用というほどのことはない。10年以上前からあるし、テレビやビデオでなら30年も前からふつうにあるやり方。

②少人数ゼミ・オンライン授業

ゼミやスーパーバイズでの利用。オンラインにて少人数での議論・討論・発表又は、先生との一対一のやりとり。ハングアウトやzoom等を使ってライブで情報交換するやりかた。パソコン、タブレット、スマホのいずれかがあれば、どこからでも使える。

少人数なら参加者の表情や様子も読み取れるので対面しているのと比べてそれほど違和感はない。

ネット上で授業をやるやり方としてはベストかな。

③オンライン講義

大人数の講義・授業をオンラインで実施。50人、100人といった大勢の学生相手の場合にオンラインで講義を行う場合、先生の授業スタイルによって、評価も違う。

(1)説明型オンライン講義

たんたんと講義、説明を進行する先生のときは①と同じ。ライブ映像より、きちんとスタジオとかで録音・録画してくれてほうが視聴しやすい。ライブの意味はない。

(2)エンターテイメント型講義

白熱教室みたいな授業をする先生の場合の講義。その場で学生へ質問して考えさせたり、学生の意見を聞きながら話しをしたり、さらに学生同士の意見交換・討論も取り入れながら授業をする先生だと、小さなモニターでは学生の表情や様子がわからない。

これはテレビの白熱教室やTEDの映像でも同じ感じがする。

教室でのライブ感覚が大切な授業なので、そもそもネット上では成り立たない気がする。

2)フランスのアンリ4世高校(リセ・アンリ=キャトル)のICT利用について

④文学の講義

授業で話したことをもとに、批評のやり方・論文の書き方を直接指導してくれる講座。

大学の②とおなじような性格のもの、さらにPDFで資料をダウンロードするおまけがとても役立った。文学は参考書なしでバカロレアでは、たぶん満点取れた。

⑤哲学の講義

バカロレアの過去問解説・答案作成ゼミ。参加学生の様々な意見・書き方がライブで理解できたのが役立った。

⑥数学の講義

黒板だけでは映像化できないものをmathematicaで見せてくれたのがわかりやすかった。mathematicaのカーネルをいろいろ提供してくれたので、自分で繰り返し復習できたし、自分でもカーネルを作ってみた。

⑦古典語、外国語

先生がquizletで、単語の暗記や動詞の活用、名詞の曲用をおぼえるカードを提供してくれた。自分でもカスタマイズできるのがよかった。自分用の教材としてつくりかえ使用できた。

3)韓国・台湾情報

シンガポールつづいて韓国と台湾は東アジアでもっとも教育のICT化が進んでいる国のようである。それぞれの大まかな感想を記す。

(1)韓国

ハード面の政策的支援・普及は進んでいるが、あとは現場任せのようである。韓国では最近ICT化に疑問が呈されているらしい。

ICTが大学受験に役立たない、進学実績と結びつかないということが一番の理由のようである。

(2)台湾

AI人材の養成という政策的大目的をもって教育のICT化をすすめている。台湾ではコンピューター教育を小学校から始めているようだ。日本が英語教育の早期開始をしたのと同じような感じ。

以上